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RED ORCAの新作デジタル・シングル“beyond the wind”が11月4日、ついに登場した。「自分で自分を導け/未来が待つあの風の向こうへ」というポジティヴなメッセージが込められた疾走感溢れるこの最新曲は、フロントマンである来門の原案によるもの。リリックの随所にスケボーやスノボ用語が散りばめられているのも、実に彼らしい。コンパクトなサイズ感の中にこのバンドを象徴する刺激的要素がギュッと濃密に詰め込まれたこのナンバーは、まさに彼らの新たな代表曲候補となりそうだ。レコーディングはリモート作業により行なわれ、ミックスはマニピュレーターの草間敬が担当。バンド自身による完全セルフ・プロデュースとなっている。

 

金子ノブアキ(ds)、来門(vo)、PABLO(g)、同道公佑(g)、葛城京太郎(b)、草間敬(manipulator)という精鋭揃いのこのバンドは、そもそもは金子のソロ・プロジェクトの発展形として生まれたもの。2020年3月に1stアルバム『WILD TOKYO』(iTunesロック・チャートで1位を獲得)を発表している他、コンスタントにシングルのリリースも重ねている。メンバー個々の経歴や素性については書き始めるとキリがないので詳しくは触れずにおくが、RIZEやAA=のドラマーであるばかりでなくソロ・プロジェクトではマルチな才能を発揮している金子、Pay money To my Painでの実績に加えてHYDEやLiSAのサポート、さまざまなアーティストの作品でのサウンド・プロデュースや楽曲提供でも定評のあるPABLO、MAN WITH A MISSIONの楽曲アレンジを手掛ける草間をはじめ、各々が同業者や後輩たちから敬意ある共感を集める人材ばかり。フェスやイベントなどの際にも常にそうした声が共演者たちからリスペクトの言葉が寄せられているという。

 

ただ、周囲からそうした熱視線を集めていること以前に重要なのは、RED ORCAのメンバーたち自身がお互いに対するリスペクトの念で繋がっているという事実だろう。前述の『WILD TOKYO』完成当時のインタビューで、来門は金子から誘いを受けた際の心境を「あっくん(=金子)のビートの上でラップできるなんて最高のことだし、断る理由なんて何もなかった」と語っている。また、金子の実弟にあたるKenKenを師と仰ぐ若き超絶ベーシストの葛城は「いつか一緒にやりたかった相手から逆に声を掛けられ、まるで意中の人からプロポーズされたような気分だった」と振り返り、「師匠のお兄さんに自分まで弟と認められたような感覚」だったとも語っている。

beyond the wind

2022.11.04

そうしたメンバーたちが集う場は常に賑やかで、ポジティヴな活気に満ちている。それはまさに、ハイブリッドであると同時に機能美を併せ持ったRED ORCAの音楽にも重なるものだ。そして彼ら躍動感溢れるライヴ・パフォーマンスは、常に満足を確約してくれる。金子はこのRED ORCAを立ち上げた際の動機について「ライヴハウスで自分の得意とするスタイルで盛り上がりたいと思い、みんなに声を掛けた」と発言しているが、まさに彼が思い描くライヴの理想形を体現するのがこのバンドなのだ。

 

今回の新曲リリースを受け、11月11には『RED CONNECTION #3』と銘打たれた東名阪ツアーも実施される。対バン形式によるこのツアーも今回でシリーズ第3弾となるが、第1弾の際にはスケボーキング、山嵐との共演をはじめ、Dragon AshのKjのサプライズ出演も話題を呼び、第2弾ではPaledusk、Age Factory、Newspeakといった錚々たる顔ぶれとステージを共にしてきた。今回もENTH(大阪)、SHIMA(名古屋)、SPARK!!SHOUD!!SHOW!!(東京)といった勢いのあるバンドたちが顔を揃え、さらに東京公演にはSurvive said the prophetの追加出演も決定している。

 

こうしたさまざまな異世代バンドとの間に起きる熱の交流こそが、この『RED CONNECTION』シリーズの醍醐味だといえる。最新キラー・チューン“beyond the wind”も必ずや披露されるはずだし、熱心なファンはもちろんのこと、まだRED ORCAのライヴに触れたことのない人たちにも、ぜひこの機会に会場に足を運び、この稀有なバンドの特異なたたずまいに触れて欲しいものだ。

 

増田勇一

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